手術看護

手術室看護師が知っておくべき「創分類」とは

「創分類」をご存知でしょうか。

 

創分類は主に、術中の予防抗菌薬やSSI(手術部位感染)を考えるうえで重要な概念となります。

 

今回の記事では、この「創分類」の基本を紹介します。創分類を知れば、日常の看護実践に必ず役立つはずです。

 

創分類とは

創分類とは、CDC(アメリカ疾病対策センター)による手術創の分類。

 

この分類において、手術創は清潔度により以下の4つに分類されています。

 

  • 創分類Ⅰ:清潔創
  • 創分類Ⅱ:準清潔創
  • 創分類Ⅲ:汚染創
  • 創分類Ⅳ:感染創

 

手術創は、もともとの病気の状況、術式や対象臓器、術中操作などにより決定されます。

 

創分類Ⅰ 炎症がなく、呼吸器・消化器・生殖器・非感染の尿路に到達していない非感染性の創部。炎症がなく、呼吸器、消化器、生殖器、非感染の尿路に到達していな
い非感染性の創部。
創分類Ⅱ 呼吸器、消化器、生殖器、尿路に到達した手術創であり、よく管理され異常が見られない創部。感染の根拠がなく、手術操作により大きな破綻がなければ、胆道・虫垂・膣・口腔咽頭を含む手術はこのカテゴリーに含まれる。
創分類Ⅲ 開放制で新鮮な偶発的創部。清潔操作に大きな破綻(開胸心臓マッサージなど)もしくは消化管から大量の腸管内容流出のあった手術、急性の非化膿性炎症がっみられる切開創はこのカテゴリーに含まれる。
創分類Ⅳ 壊死組織が残っている陳旧性外傷および臨床的感染もしくは内蔵穿孔のある陳旧性外傷。このカテゴリーの定義は、術後感染を引き起こす病原体が術前から手術野に存在していたことを示す。

 

創分類を知っておくべき理由

なぜ、手術室看護師が創分類を知っておかなければならないのか。

 

その主な理由は、手術による感染を防ぐため、つまり患者のSSI(手術部位感染)を防ぐためです。

 

創分類を知っておくことで、SSIのリスクアセスメントに非常に役立ちます。

 

創分類がSSIにどのように関わるのかと言うと、主に以下の2つが挙げられます。

 

  • 創分類により、SSIのリスクインデックスが変わる
  • 創分類により、予防抗菌薬の使い方が変わる

 

この2つのポイントについて、もう少し詳しく紹介していきます。

 

創分類とSSIのリスク

SSIサーベイランスを経験したことのある方なら創分類とSSIとの関係性が分かるはずですが、手術室看護師が独自でサーベイランスを行うことはまずないでしょう。

 

手術を受けた患者の中で、手術が原因による感染がどのくらい起こっているのかを明らかにするのが、SSIサーベイランスです。

 

このSSIサーベイランスでは、「もともとどのくらいSSIが起こりやすいか」というリスク毎に分類を行います。

 

この分類にはリスクインデックス(RI:Risk Index)という点数が用いられ、0点~3点の4つのカテゴリーに分類されます。

 

SSIのリスクインデックスは加点方式で、以下の3つの項目に該当する場合、それぞれ1点を加点し、点数が高いほどSSIリスクが高くなります

 

SSIリスクインデックス

  • ASA-PS分類ⅢまたはⅣ
  • 創分類ⅢまたはⅣ
  • 各術式ごとの手術時間の75パーセンタイル以上

 

つまり、患者の全身状態が悪いほど、手術創が汚いほど、手術時間が長いほど、SSIのリスクが増すということです。

 

創分類はこの中で「どのくらい創が汚いか」を分類するための指標となります。

 

例え創分類Ⅱの消化管手術であっても、術中に腸管内容が大量に流出した場合、医師と相談したうえで創分類をⅢにするかどうかを検討しなければなりません。

 

創分類がⅡからⅢになるということはSSIのリスクインデックスが1点加点されるということであり、患者さん自身のSSI発生リスクが高くなるというアセスメントに繋がります。

 

創分類と予防抗菌薬

最近、多くの手術で予防抗菌薬が用いられるようになりました。

 

予防抗菌薬に関しては、先日このようなツイートをしました。

抗菌薬を使用することが当たり前になってしまい、「手術では抗菌薬を使うもの」という固定観念を持ってしまっている医療スタッフが非常に多くなっています。

 

術中に用いる予防抗菌薬は、文字通り「手術による感染の予防」のために用いるもの。

 

抗菌薬を投与する以上、正しく使用しなければ感染そのものが制御できなかったり、耐性菌の出現によって他の感染を招いてしまう原因となります

 

予防抗菌薬は術式や対象臓器に適したものを、必要な分だけ用いるのが鉄則です。

 

創分類は、この予防抗菌薬使用において、「そもそも予防抗菌薬が必要かどうか」を決定するための指標です。

 

予防抗菌薬の対象は、主に以下の2つとなります。

 

術中予防抗菌薬の対象

  • 創分類Ⅰの手術の一部
  • 創分類Ⅱの手術

 

清潔創に対する小手術では、抗菌薬は必要ありません。

 

また、創分類Ⅲ以上の手術に関しては、例え術中であっても予防抗菌薬ではなく、治療抗菌薬として抗菌薬を投与します。

 

既に汚染や感染のある創には、予防抗菌薬の意味はありません。

 

注意しなければならないは、予防抗菌薬と治療抗菌薬では、使い方が異なるということ。

 

予防抗菌薬は術中の血中濃度を一定に保つ必要があるため、原則として半減期血中半減期の2倍程度の時間で再投与が行われます。

 

治療抗菌薬の場合は、予防抗菌薬よりも投与間隔が長くなります。

 

予防抗菌薬の対象でない手術に予防抗菌薬を投与すると、多くの場合は過量投与になります。

 

アレルギーや腎臓への負担も考えられますが、何より怖いのは耐性菌の出現。

 

手術室看護師として創分類を知っておくことは、適切な術中予防抗菌薬の投与に欠かせません。

 

まとめ

今回の記事では、「創分類とは何か」を基本に、創分類が関わるSSIや予防抗菌薬に関して説明をしました。

 

創分類・SSIサーベイランス・予防抗菌薬は、どれも周術期管理チームテキストに掲載されており、資格取得のための試験にも出題されることが多いものです。

ぜひ、日常の看護実践に役立てていただければと思います。

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