手術看護

手術室看護師のための、ソフトナース®︎の基礎知識

手術看護において、ソフトナース®︎は絶大な信頼を誇る体圧分散具。

 

ところが信頼が絶大過ぎることで、

 

「ソフトナース®︎を使うことが褥瘡予防」

 

みたいな考えを持ってしまうことがとても多いです。

 

ソフトナース®︎であれ何であれモノには使用する目的があり、それぞれの特徴を知らないと効果を最大限に発揮させることはできません。

 

今回は、手術室で当たり前のように使われるソフトナース®︎に関して、手術室看護師が持っておくべき基本的な知識を紹介します。

ソフトナース®︎とは

ソフトナース®︎は、

高密度・高弾力・低反発という特性を持ったウレタンフォームのマットレス

です。

 

一般的なベッドマットレスとは異なり、オーバーレイタイプであるため、既存のマットレスの上に敷いて使うことができます。

 

手術室においては、主に術中の褥瘡を予防するための体圧分散群として用いられます。

 

ソフトナース®︎の種類

ソフトナースには、体重や褥瘡リスクに合わせた3つの種類があります。

 

種類 体重 褥瘡リスク
ピンク 40〜70kg
グレー/ピンク 70kg〜
イエロー/ピンク 70〜130kg

 

体重や褥瘡リスクはあくまで目安ですが、そもそもソフトナース®︎は手術室向けに作られた製品ではなく、一般病棟や在宅など、定期的な圧の再分配(体位変換など)が可能な場での使用を目的としたものです。

 

手術室におけるソフトナース®︎の基本的な使い方

施設ごとに様々なタイプのソフトナースが導入されていると思いますが、手術室というのは一般病棟や在宅のように、定期的な圧の再分配を行うことができません。

だからこそ、マットレスによる体圧分散効果を最大限に得る必要があります

 

体圧分散とは

「ソフトナース®︎を使えば、体圧分散効果が得られる。」

 

そう思っていませんか?

 

体圧分散という言葉を聞くことは多々あるんですが、「体圧分散って何?」って聞くと、答えられない方がとても多いように感じます。

体圧分散とは何かを知らないままソフトナース®︎を使ってしまうから、このような間違った考えが広まっているのだと思います。

 

体圧分散とはズバリ、

 

体圧分散とは

患者を1枚のマットレスに広く、深く沈ませ、マットレスと患者との接触面積を可能な限り広げること

 

マットレスに体を沈ませることで接触面積が増えるから、骨突出部の局所的な圧がその他の部位へと分散し、局所の圧を軽減させられるのです。

 

切り刻んだソフトナース®︎

体圧分散を得るためには、患者とマットレスとの接触面積が大きくなければなりません。

 

仙骨や踵など、骨突出部に小さく切ったソフトナース®︎を当てる場面をよく見かけますが、これではソフトナース®︎本来の体圧分散効果は得られません。

 

当てるソフトナース®︎が小さければ小さいほど、体圧分散効果も小さくなります。

 

ソフトナース®︎を使う際には、カットせずに大きなまま手術台に敷くことを第一に考えてください。

 

何かに触れていれば褥瘡は起こる

「ソフトナース®︎使ってるから褥瘡できないよ」

 

くらいの勢いで術中に圧の再分配をしない方を見かけます。

 

褥瘡は、局所に高い圧が長時間かかっても、低い圧が長時間かかっても起こります...

 

一昔前までは、皮膚局所にかかる圧が毛細血管圧である32mmHgよりも低ければ褥瘡は起こらないと考えられていました。

 

この考えは既に打ち砕かれ、32mmHgより低い圧でも、長時間圧が加われば褥瘡は起こるというのが、今の一般的な考え方です。

 

例えソフトナース®︎を使っていても、

 

「何かに触れている以上、褥瘡は起こる」

 

ということを念頭に置いておく必要があります。

 

マットレスの厚さが大事

ウレタンフォームのマットレスは手術室におけるスタンダードですが、同じ素材のマットレスなら、基本的にはマットレスが厚いほど体圧分散効果は高くなります

 

これを考慮すれば、ベッド全面にソフトナース®︎を敷く場合、定期的な圧の再分配が行えない手術室では最も厚みのあるイエロー/ピンクが適していると言えます。

 

(メーカー側も、手術室ではイエロー/ピンクを推奨しています。)

 

ソフトナースの厚み

  • ピンク:3cm
  • グレー/ピンク:4cm
  • イエロー/ピンク:6cm

 

ポジショニングピローはソフトナース®︎の下に

せっかくソフトナース®︎を手術台に敷いたのに、良肢位保持のためのクッションをソフトナース®︎の上に敷いてしまっては、ソフトナース®︎と患者との接触面積が減ってしまいます。

 

ソフトナース®︎を全面に敷いた場合は、ソフトナース®︎と患者との接触面積が広く保てるよう、ソフトナース®︎の下にクッションを置きましょう。

 

可能な限り圧の再分配を

術中と言っても、圧の再分配ができないわけではありません。

 

踵や頭部など、可能な部分は定期的に接触面を変え、圧が局所にかからないようにしましょう。

 

仙骨部などの除圧をする際には、患者の皮膚とソフトナース®︎との間に手を入れると摩擦を加えてしまうため、手術台とソフトナース®︎の間に手を入れて、一時的でもいいので接触面を変えることを心がけましょう。

 

まとめ

ソフトナース®︎は万能な褥瘡予防具ではなく、単なる体圧分散具です。

 

ソフトナース®︎による体圧分散効果を得るためには、体圧分散の基本をしっかりと理解し、可能な限りマットレスに患者を沈ませる必要があります。

 

ソフトナース®︎を当てることが褥瘡予防ではなく、ソフトナース®︎を使って体圧分散を得ることで初めて、褥瘡予防につながるのです。

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